フォーム|2026.07.02

「投稿されません」「おすすめです」— SNS連携ログインの不安を消す添え言葉

SNSアカウントでのログインをためらうユーザーの不安を、たった一言の添え言葉で払拭する。プライバシー保証とベネフィット提示、2つのアプローチの実例を紹介します。

宮永邦彦
代表取締役 宮永邦彦
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SNSログインボタン、押すのをためらう心理

GoogleやLINE、Xなどのアカウントでワンクリックログイン。ユーザーにとっても、サイト運営者にとっても便利な仕組みですが、実際にはボタンの前で手が止まるユーザーが少なくありません。

「自分のSNSに何か投稿されるのでは?」「どんな情報が渡されるの?」——こうした不安が、せっかくの利便性を台無しにしています。特にLINEのようなコミュニケーションアプリでは、友人や家族に購入履歴が見られるかもしれないという心理的抵抗は想像以上に大きいものです。

ボタン周辺にほんの一言を添えるだけで、この不安は大きく和らぎます。今回は、異なるアプローチでSNS連携の心理的障壁を下げている2つの事例を見ていきます。

事例

ダイレクトテレショップ — 「タイムラインに反映されません」と明言し、副作用も正直に

ダイレクトテレショップのログインページ。LINEログインボタンの下に「購入情報はお客様の同意なくタイムラインに反映されることはございません」と表示
ダイレクトテレショップ — LINEログインの不安を先回りして解消

ダイレクトテレショップのログインページでは、LINEログインボタンの直下に 「購入情報はお客様の同意なくお客様のタイムライン上に反映される事はございませんので、ご安心ください」 と明記しています。

テレビショッピング由来の通販サイトだけに、シニア層を含む幅広い年代が利用します。LINEは使い慣れていても、アカウント連携となると「何が起きるのかわからない」という不安は大きい。その最大の懸念——購入情報がタイムラインに流れること——を、はっきりと否定しているのがポイントです。

注目したいのは、続けて 「LINEログインを使用すると友達追加がされます」 と副作用も正直に開示している点です。良い面だけを伝えるのではなく、ユーザーが知っておくべき情報も隠さない。この誠実さが、かえって信頼感を高めています。

資生堂オンラインストア — ベネフィットを「おすすめです」と友人のように

資生堂オンラインストアのログインページ。SNSログインボタン群の上に「一度連携すると、次回ログイン時、会員ID・パスワードの入力が不要になるのでおすすめです。」と表示
資生堂オンラインストア — SNS連携のメリットを平易に伝える

資生堂オンラインストアのログインページでは、LINE・X・Yahoo! JAPAN IDのログインボタン群の上に 「一度連携すると、次回ログイン時、会員ID・パスワードの入力が不要になるのでおすすめです。」 と表示しています。

ダイレクトテレショップが「不安の否定」で安心感を意識したのに対し、こちらは「ベネフィットの提示」というアプローチです。セキュリティやプライバシーの説明ではなく、連携することで得られる具体的なメリット——パスワード入力が不要になること——を平易な言葉で伝えています。

「おすすめです」という締め方も絶妙です。「ぜひご利用ください」のような公式的な表現ではなく、友人に勧めるような温かみのあるトーンが、コスメブランドらしいやわらかさを感じさせます。

💡 さらに改善するとしたら

「お客様のアカウントに投稿されることはありません」のようなプライバシー保証を一言添えるとよい。 「Microcopy: The Complete Guide」Chapter 4: Sign Up, Login and Password Recovery

紹介サイト

マイクロコピーの観点

Microcopy: The Complete Guide
Microcopy: The Complete Guide (2nd ed.)
Kinneret Yifrah 著 / NEMALA / 2019年
ザ・マイクロコピー
Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー [第2版]
山本琢磨 著 / 秀和システム / 2022年

Microcopy: The Complete Guide の p.78 では、著者の Kinneret Yifrah が「サイトがプライバシーを守ると約束しなかったという理由だけで、ソーシャルメディアアカウントでの登録を断念するユーザーを、私自身の目で見てきました」と述べています。SNS連携ボタンを置くだけでは不十分で、その周辺にプライバシーへの配慮を言葉にする必要があるということです。

同書 p.78 ではさらに、SNS連携ログインのボタン周辺に添えるべき3つの約束として、(1) ユーザーの名前で何も投稿しないと約束する、(2) SNS連携のベネフィット(最速・入力不要など)を伝える、(3) プライバシーを守る姿勢を示す、を挙げています。今回の2つの事例は、ダイレクトテレショップが (1) の投稿しない約束を、資生堂が (2) のベネフィット提示を、それぞれ実践している好例です。

ザ・マイクロコピーの p.109 では、恋愛・婚活マッチングサービス Pairs がログインボタンに「Facebookには一切投稿されません」と添えている事例が紹介されています。マッチングサービスという特にプライバシーに敏感な文脈で、この一言がユーザーの不安を真っ先にケアしている点が評価されています。ECサイトでも同様に、SNS連携ボタンの近くにこうした一言を添えることは有効です。

※ マイクロコピーは株式会社オレコンの登録商標です。

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