その他|2026.04.27

「カートに入れる」を超える — ボタン文言に価値を込める添え言葉

「カートに入れる」「購入する」の定型文を、ユーザーが得る価値に書き換えるだけでクリックを後押しする効果が期待できます。eギフト・取付直送・店舗受取など、ボタン自体にベネフィットを込めた3つの事例を紹介します。

「する」ではなく「得る」を書く

ECサイトのボタンには「カートに入れる」「購入する」「送信」といった定型文が並びがちです。これらはユーザーがこれからすることを書いているだけで、その先に何が得られるかは伝わりません。

ボタンの文言を「ユーザーが得る価値」に書き換えると、クリックへの心理的ハードルが下がると考えられています。「Microcopy: The Complete Guide」では、ボタンのコピーを「Order information」から「Get information」に変えただけでコンバージョンが約40%上昇した事例が紹介されています。

今回は、CTAボタンのラベル自体にベネフィットを込めている事例を調べてみました。

事例

神戸フランツ — 「住所を知らない相手に贈れる」をボタンに凝縮

神戸フランツの商品詳細ページ。「住所を知らない相手にeギフトで贈る」ボタンが表示されている
神戸フランツ — eギフトボタンにユーザーの状況を先回りした文言

神戸フランツの商品詳細ページでは、「カートに入れる」ボタンの直下に 「住所を知らない相手にeギフトで贈る」 というボタンが並んでいます。

通常のeギフトボタンは「eギフトで贈る」と機能名を示すだけですが、このコピーは「住所を知らない相手に」という具体的な状況を先に置いています。SNSで繋がっているけれど住所は知らない友人へのプレゼント――ギフトECでは頻繁に発生する場面です。「eギフトって何ができるの?」という疑問を説明なしに解消し、「それなら使える」とクリックの動機を直接つくっています。

💡 さらに改善するとしたら

ボタンの直下に「LINEやメールでリンクを送るだけ」のように送り方の手軽さを一言添えると、eギフトの利用手順が具体的にイメージでき、「難しそう」という操作面の不安も解消できる。 「Microcopy: The Complete Guide」Chapter 16: Alleviating Concerns and Suspicions

AUTOWAY — 「手間なし簡単」バッジで取付の不安を一掃

AUTOWAYの商品詳細ページ。「近くの取付店へ直送する」ボタンの上に「手間なし簡単」バッジが重ねて表示されている
AUTOWAY — ボタン上部のバッジが心理的ハードルを下げる

AUTOWAYはタイヤ・ホイール専門の通販サイトです。商品詳細ページの配送先選択欄に 「近くの取付店へ直送する」 というボタンがあり、その上部に 「\手間なし簡単/」 というバッジが重ねて表示されています。

タイヤは購入後に専門店での取付工事が必要な商品。「買ったはいいが、どこで取り付けてもらえばいいのか」はユーザーにとって大きな障壁です。ボタンのラベルが「取付店を選択する」という手続き的な表現ではなく「近くの取付店へ直送する」と完成形を示しているのがポイントで、さらに「手間なし簡単」のバッジがタイヤ取付の煩雑なイメージを払拭しています。店頭ポップを思わせる「\〜/」の記号も、タイヤ専門店らしい親しみやすさを出しています。

ABC-MART — CTAボタン内に出荷日と店舗受取ベネフィットを内包

ABC-MARTのカート画面。「ご自宅へ配送」ボタンに出荷予定日、「店舗受取り」ボタンに送料無料・サイズ交換可能と表示されている
ABC-MART — 2つのCTAそれぞれにベネフィット情報を添えている

ABC-MARTのカート画面では、2つのCTAボタンがそれぞれ異なるベネフィットを内包しています。左の 「ご自宅へ配送」 ボタンには「03月24日までに出荷予定」、右の 「店舗受取り」 ボタンには「送料無料・店舗内でサイズ交換可能」と表示されています。

注目したいのは「店舗受取り」側です。靴のECで最も大きな不安は「サイズが合わなかったらどうしよう」ということ。「店舗内でサイズ交換可能」という一文がこの障壁を直接取り除き、店舗受取りを選ぶ積極的な理由をつくっています。ボタン単体で意思決定に必要な情報が完結しているため、ユーザーは他の場所を探す必要がありません。

💡 さらに改善するとしたら

「ご自宅へ配送」ボタン側にも「サイズが合わなければ返品送料無料」のような返品保証の一言を添えると、自宅配送を選ぶユーザーにもサイズ不安の解消が行き届く。 「Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー [第2版]」第11章 自社サイトのマイクロコピーの作り方 — 11-2

もっと事例を見る

ボタン文言に価値を込めるパターンは他にもあります。ウィッシュリスト・会員特典・決済簡略化・カート追加モーダルなど、さらに4サイトの事例を ボタン文言に価値を込める事例をもっと見る にまとめました。

紹介サイト

  • 神戸フランツ — 神戸発のプレミアムスイーツ通販。壷プリンやチーズケーキが人気
  • AUTOWAY — 国内最大級の輸入タイヤ・ホイール専門通販
  • ABC-MART — スニーカー・ビジネスシューズなど幅広いカテゴリの大手シューズ専門通販

マイクロコピーの観点

Microcopy: The Complete Guide
Microcopy: The Complete Guide (2nd ed.)
Kinneret Yifrah 著 / NEMALA / 2019年
ザ・マイクロコピー
Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー [第2版]
山本琢磨 著 / 秀和システム / 2022年

「Microcopy: The Complete Guide」p.156 では、ボタンに「ユーザーがすること(アクション)」ではなく「ユーザーが得るもの(価値)」を書くべきだと述べられています。ボタンのコピーを「Order information」から「Get information」に変えただけでコンバージョンが約40%上昇した事例が紹介されており、たった一語の違いがユーザーの行動を大きく左右することがわかります。

「ザ・マイクロコピー」p.91 では、fab.comでカートアイコンのみのボタンに「カートに入れる」とテキストを追加したところ、クリック率が49%アップした事例が紹介されています。ボタンに言葉を添えること自体がクリックの後押しになるのです。今回紹介した事例のように、その言葉を定型文から一歩踏み込んでベネフィットに書き換えれば、さらに大きな効果が期待できます。

※ マイクロコピーは株式会社オレコンの登録商標です。

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