「何をお探しですか?」から「申込番号で検索」まで — 検索窓プレースホルダーの添え言葉
検索窓の空白を「何を入力すればいいか」のヒントに変えることで、検索の利用を促し、サイト内の回遊につなげる工夫が見られます。3つの実例とマイクロコピーの観点を紹介します。
検索窓の空白は、もったいない
ECサイトのヘッダーにある検索窓。多くのサイトでは「検索」や「キーワードを入力」とだけ書かれていたり、そもそも空欄のままだったりします。しかし、サイト内検索を使うユーザーは使わないユーザーの2倍以上の成約率があるとされており、この小さなスペースを活かさない手はありません。
プレースホルダーに「何を入力すればいいか」のヒントを置くだけで、ユーザーは検索窓を使うハードルがぐっと下がります。今回は、プレースホルダーの書き方にそれぞれ異なる工夫を凝らしている3つのサイトを見ていきます。
事例
大丸松坂屋オンラインストア — カテゴリに連動してプレースホルダーが変わる

大丸松坂屋オンラインストアのトップページでは「何をお探しですか?」という汎用的なプレースホルダーが表示されていますが、お取り寄せスイーツのカテゴリページに移動すると「春のスイーツから商品を検索」に変わります。
注目したいのは、現在地の文脈をプレースホルダーに織り込んでいる点です。「春のスイーツ」という具体的な言葉が入ることで、ユーザーは「今見ているカテゴリの中から絞り込める」と直感的に理解できます。汎用的な「検索」ではなく、今いるページの延長線上にある行動として検索を位置づけている好例です。
検索窓をタップした際に、当該カテゴリ内の人気キーワード(例:「抹茶」「フルーツタルト」など)をサジェストとして表示すると、ユーザーは入力の手間なくワンタップで検索を開始できる。 「Microcopy: The Complete Guide」Chapter 10: Placeholders
ロッピング — テレビ通販ならではの「申込番号」

テレビ朝日グループの通販サイトロッピングでは、検索窓に 「商品名・申込番号などを入力してください」 と表示しています。
一般的な通販サイトなら「商品名を入力」で十分ですが、このサイトのユーザーにはテレビ放送を見て「申込番号」をメモしてきた人がいます。「申込番号」という言葉を加えることで、テレビを見たあとにサイトを訪れたユーザーが迷わず番号を入力できます。ターゲット層のリアルな行動フローに寄り添った、的確なプレースホルダーです。
「例:123456」のように申込番号のフォーマット例を添えると、テレビでメモした番号が正しい形式かどうかをユーザーが確認でき、検索失敗を未然に防げる。 「Microcopy: The Complete Guide」Chapter 17: Preventing Errors and Other Setbacks
Anker Japan — 「用途で検索」という選択肢を提示

Anker Japan公式オンラインストアの検索窓には 「製品名や用途で検索」 というプレースホルダーが置かれています。
Ankerの製品ラインナップは充電器・モバイルバッテリー・ケーブル・イヤホンなど多岐にわたり、ユーザーが正確な製品名を知っているとは限りません。「用途で検索」という一言があることで、「iPhone充電」「急速充電」など使用目的から探せると伝わります。製品名がわからなくても検索窓を使えるという安心感を、プレースホルダーひとつで生み出しています。
検索窓をタップした際に「急速充電」「ワイヤレスイヤホン」などの人気キーワードやトレンドワードをドロップダウンで表示すれば、入力の手間なく検索を開始できる。 「Microcopy: The Complete Guide」Chapter 10: Placeholders
もっと事例を見る
検索窓プレースホルダーの工夫は他のサイトにも見られます。さらに3サイトの事例を 検索窓プレースホルダーの事例をもっと見る にまとめました。
紹介サイト
- 大丸松坂屋オンラインストア — 大丸・松坂屋百貨店の公式通販、ギフト・食品・ファッションなど幅広く展開
- ロッピング — テレビ朝日グループの通販サイト、番組連動商品を販売
- Anker Japan公式オンラインストア — モバイルバッテリー・充電器・イヤホンなど電子機器のメーカー直販
マイクロコピーの観点


Microcopy: The Complete Guide の p.145 では、「特に重要なフィールドにおける興味深いパーソナルな質問は、ユーザーに答えたいという欲求を呼び起こし、トラフィックを増やし、プロダクト上のユーザーアクションを増加させる」と述べられています。検索窓はまさにその「特に重要なフィールド」であり、プレースホルダーの一言がユーザーの行動を左右します。
「ザ・マイクロコピー」の第7章 7-3 では、検索窓を使うユーザーはそうでないユーザーより2倍以上の成約率があると紹介されています。検索窓の利用を促すことは、そのまま売上に直結するのです。Googleアナリティクスで実際に検索されているキーワードを調べ、それをプレースホルダーに反映させるのも有効なアプローチです。
※ マイクロコピーは株式会社オレコンの登録商標です。


