その他|2026.04.30

「何をお探しですか?」から「申込番号で検索」まで — 検索窓プレースホルダーの添え言葉

検索窓の空白を「何を入力すればいいか」のヒントに変えることで、検索の利用を促し、サイト内の回遊につなげる工夫が見られます。3つの実例とマイクロコピーの観点を紹介します。

検索窓の空白は、もったいない

ECサイトのヘッダーにある検索窓。多くのサイトでは「検索」や「キーワードを入力」とだけ書かれていたり、そもそも空欄のままだったりします。しかし、サイト内検索を使うユーザーは使わないユーザーの2倍以上の成約率があるとされており、この小さなスペースを活かさない手はありません。

プレースホルダーに「何を入力すればいいか」のヒントを置くだけで、ユーザーは検索窓を使うハードルがぐっと下がります。今回は、プレースホルダーの書き方にそれぞれ異なる工夫を凝らしている3つのサイトを見ていきます。

事例

大丸松坂屋オンラインストア — カテゴリに連動してプレースホルダーが変わる

大丸松坂屋オンラインストアの検索窓。「春のスイーツから商品を検索」とプレースホルダーが表示されている
大丸松坂屋オンラインストア — カテゴリページでプレースホルダーが変化

大丸松坂屋オンラインストアのトップページでは「何をお探しですか?」という汎用的なプレースホルダーが表示されていますが、お取り寄せスイーツのカテゴリページに移動すると「春のスイーツから商品を検索」に変わります。

注目したいのは、現在地の文脈をプレースホルダーに織り込んでいる点です。「春のスイーツ」という具体的な言葉が入ることで、ユーザーは「今見ているカテゴリの中から絞り込める」と直感的に理解できます。汎用的な「検索」ではなく、今いるページの延長線上にある行動として検索を位置づけている好例です。

💡 さらに改善するとしたら

検索窓をタップした際に、当該カテゴリ内の人気キーワード(例:「抹茶」「フルーツタルト」など)をサジェストとして表示すると、ユーザーは入力の手間なくワンタップで検索を開始できる。 「Microcopy: The Complete Guide」Chapter 10: Placeholders

ロッピング — テレビ通販ならではの「申込番号」

ロッピングの検索窓。「商品名・申込番号などを入力してください」とプレースホルダーが表示されている
ロッピング — 「申込番号」をプレースホルダーに明記

テレビ朝日グループの通販サイトロッピングでは、検索窓に 「商品名・申込番号などを入力してください」 と表示しています。

一般的な通販サイトなら「商品名を入力」で十分ですが、このサイトのユーザーにはテレビ放送を見て「申込番号」をメモしてきた人がいます。「申込番号」という言葉を加えることで、テレビを見たあとにサイトを訪れたユーザーが迷わず番号を入力できます。ターゲット層のリアルな行動フローに寄り添った、的確なプレースホルダーです。

💡 さらに改善するとしたら

「例:123456」のように申込番号のフォーマット例を添えると、テレビでメモした番号が正しい形式かどうかをユーザーが確認でき、検索失敗を未然に防げる。 「Microcopy: The Complete Guide」Chapter 17: Preventing Errors and Other Setbacks

Anker Japan — 「用途で検索」という選択肢を提示

Anker Japan公式オンラインストアの検索窓。「製品名や用途で検索」とプレースホルダーが表示されている
Anker Japan — 「製品名や用途で検索」で入力のハードルを下げる

Anker Japan公式オンラインストアの検索窓には 「製品名や用途で検索」 というプレースホルダーが置かれています。

Ankerの製品ラインナップは充電器・モバイルバッテリー・ケーブル・イヤホンなど多岐にわたり、ユーザーが正確な製品名を知っているとは限りません。「用途で検索」という一言があることで、「iPhone充電」「急速充電」など使用目的から探せると伝わります。製品名がわからなくても検索窓を使えるという安心感を、プレースホルダーひとつで生み出しています。

💡 さらに改善するとしたら

検索窓をタップした際に「急速充電」「ワイヤレスイヤホン」などの人気キーワードやトレンドワードをドロップダウンで表示すれば、入力の手間なく検索を開始できる。 「Microcopy: The Complete Guide」Chapter 10: Placeholders

もっと事例を見る

検索窓プレースホルダーの工夫は他のサイトにも見られます。さらに3サイトの事例を 検索窓プレースホルダーの事例をもっと見る にまとめました。

紹介サイト

マイクロコピーの観点

Microcopy: The Complete Guide
Microcopy: The Complete Guide (2nd ed.)
Kinneret Yifrah 著 / NEMALA / 2019年
ザ・マイクロコピー
Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー [第2版]
山本琢磨 著 / 秀和システム / 2022年

Microcopy: The Complete Guide の p.145 では、「特に重要なフィールドにおける興味深いパーソナルな質問は、ユーザーに答えたいという欲求を呼び起こし、トラフィックを増やし、プロダクト上のユーザーアクションを増加させる」と述べられています。検索窓はまさにその「特に重要なフィールド」であり、プレースホルダーの一言がユーザーの行動を左右します。

「ザ・マイクロコピー」の第7章 7-3 では、検索窓を使うユーザーはそうでないユーザーより2倍以上の成約率があると紹介されています。検索窓の利用を促すことは、そのまま売上に直結するのです。Googleアナリティクスで実際に検索されているキーワードを調べ、それをプレースホルダーに反映させるのも有効なアプローチです。

※ マイクロコピーは株式会社オレコンの登録商標です。

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