「画面だけでは不安」なユーザーへ — 電話注文・店舗確認・配送補足の添え言葉
ECサイトには「電話で注文したい」「実物を見たい」「届くタイミングを知りたい」人がいます。画面操作だけでは完結しないニーズに応える5つの添え言葉を紹介します。
「画面で完結」できないユーザーがいる
ECサイトの設計者はつい、すべてのユーザーが画面上でスムーズに買い物を完結できる前提で考えがちです。しかし実際には「パソコン操作に自信がない」「高額な商品は実物を確かめたい」「配送条件をもっと詳しく知りたい」など、画面操作だけでは踏み出せないユーザーが確実に存在します。
こうしたユーザーに対して、電話注文の窓口や店舗での確認手段、配送オプションの補足情報を添え言葉で伝えることは、取りこぼしを防ぐ有効な手段です。今回は、多様なニーズに応えている5つの事例を見ていきます。
事例
家電のSAKURA — 「パソコン操作が苦手な方も安心」

家電のSAKURAでは全ページ共通のヘッダーに「お電話のご注文もOK」というバナーを設置し、その下に「パソコン操作が苦手な方も安心」と添えています。単に電話番号を載せるのではなく、電話注文が嬉しい理由をユーザーの視点で言語化しているのがポイントです。デジタル操作に不安を抱えるシニア層にとって「自分にもできる」という安心感につながると考えられます。「代引き払いのみ」と制約を併記している点も誠実で、後から支払い方法で驚くことを防いでいます。
電話番号をタップ可能なリンクにし、受付時間帯(「平日10:00〜17:00」など)を添えると、ユーザーが「今電話できるか」を即座に判断でき、行動への接続がよりスムーズになる。 「Microcopy: The Complete Guide」Chapter 6: Contact Us
ユーキャン通販ショップ — 「通話無料」バッジで金銭的ハードルを消す

ユーキャン通販ショップの商品詳細ページでは、画面下部に「電話で申込む」と「今すぐご注文に進む」の2つのCTAが常時固定で並んでいます。注目したいのは「電話で申込む」ボタンに組み込まれた「通話無料」バッジ。「電話したいけど通話料がかかるのでは」という金銭的な心配を、ボタンを見た瞬間に消しています。Web注文と電話注文を対等に並べることで、シニア層の多いユーキャンの顧客がそれぞれ使いやすい方法を選べる設計です。
「スピード発送(13:00までのご注文で当日発送)」の横に追加料金の有無(「追加料金なし」等)を明記すると、急ぎ便は有料という先入観を持つユーザーの不安も払拭できる。 「Microcopy: The Complete Guide」Chapter 15: Questions Answered and Knowledge Gaps Bridged
コメ兵オンラインストア — 「店舗で実物を見る」という第三の選択肢

コメ兵オンラインストアでは、商品詳細ページの「ショッピングカートに入れる」の直下に「店舗で実物を見る(お取り寄せ)」というボタンを配置しています。16万円のエルメスの財布を写真だけで購入する決断は容易ではありません。「カートに入れる」か「諦める」の二択ではなく、「店舗に取り寄せて実物を確認してから購入する」という第三の選択肢を提示することで、迷っているユーザーを取りこぼさない設計です。全国に実店舗を持つコメ兵ならではの強みを、購入導線の中で自然に伝えています。
現在のカート合計額と送料無料ラインの差額を「あと○○円で送料無料」と動的に表示すると、ユーザーが追加購入すべき金額を即座に把握でき、客単価向上にもつながる。 「Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー [第2版]」第11章 自社サイトのマイクロコピーの作り方 — 11-5
FELICITY — 「13:00までのご注文で当日発送」

ワイン・洋酒専門通販のFELICITYでは、購入手続き画面の配送オプション「スピード発送」に「(13:00までのご注文で当日発送)」という補足を括弧書きで添えています。「スピード発送」だけでは具体的にいつ届くのか分かりませんが、締め切り時刻と発送タイミングを明示することで、急ぎのユーザーが自分の状況に照らして判断できます。贈答用やパーティー用で急いでいるケースが多いワイン通販ならではの配慮です。
電話注文ボタンの近くに「受付時間 9:00〜18:00(平日のみ)」のような対応可能時間を添えると、ユーザーは今電話して繋がるかどうかを事前に判断できる。 「Microcopy: The Complete Guide」Chapter 6: Contact Us
FELICITY — 「11,000円ご購入につき1個口送料無料」

同じくFELICITYのカート画面では、「ご注文手続きへ進む」ボタンのすぐ上に「11,000円(税込)ご購入につき 1個口送料無料 ¥0 ※対象外地域あり」というバナーを配置しています。ユーザーが最も迷うタイミングで送料の条件を明示し、「¥0」という表記で送料がかからないことを視覚的に強調しています。ワインはまとめ買いが多い商材だけに、「1個口」という単位の明記も親切です。「※対象外地域あり」と但し書きを添えて条件を正直に開示している点も見逃せません。
ボタンの直下に「お取り寄せ手数料無料」「最短○日でお近くの店舗に届きます」のような具体的な条件を添えると、ボタンを押す心理的ハードルがさらに下がる。 「Microcopy: The Complete Guide」Chapter 11: Buttons
紹介サイト
- 家電のSAKURA — テレビ・エアコンなど幅広い家電を扱う大阪の通販サイト。電話注文・設置サービスにも対応
- ユーキャン通販ショップ — CD・DVD・健康グッズなどシニア向け商品を中心に展開する通信教育大手の公式通販
- コメ兵オンラインストア — エルメス・ロレックスなど高級ブランドの中古品・未使用品を扱う日本最大級のリユース通販
- FELICITY — ワイン・洋酒を中心に日本トップクラスの品揃えを誇る酒類専門通販
マイクロコピーの観点


Microcopy: The Complete Guide の p.42 では、ユーザーの反対意見と懸念について「決して無視してはならない。むしろ、少なくとも暗黙的にそれらに対処し、払拭するか、そもそも発生しないようにする必要がある」と述べられています。今回紹介した電話注文バナーや店舗お取り寄せボタンは、まさに「ネットでの購入に不安がある」という懸念に正面から対処する添え言葉です。
また「ザ・マイクロコピー」p.56 では、ユーザーが行動しない理由として「慣れない操作」「お金がかかる」といった6つの行動障壁が紹介されています。「パソコン操作が苦手な方も安心」は「慣れない操作」への対処、「通話無料」バッジは「お金がかかる」という障壁の除去にあたります。画面上の操作だけに頼らず、ユーザーが抱える多様な障壁に先回りして選択肢を提示することが、コンバージョンにつながるのです。
※ マイクロコピーは株式会社オレコンの登録商標です。


