フォーム|2026.04.24

「なぜこの情報が必要なの?」— 個人情報フィールドに理由を添える添え言葉

電話番号・性別・カード情報。ユーザーが「なぜ聞くの?」と感じやすいフィールドに一言理由を添えることで、入力への抵抗感を和らげる工夫が見られます。3つの事例とマイクロコピーの観点を紹介します。

宮永邦彦
代表取締役 宮永邦彦
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「なぜそれを聞くの?」という疑問

会員登録フォームで、名前やメールアドレスを入力するのはごく自然なことです。しかし携帯電話番号、性別、住所といった項目になると、ユーザーの手が止まります。「なぜこの情報が必要なのだろう」「入力したらどう使われるのだろう」という疑問が浮かぶからです。

この疑問に答えないまま入力を求めると、ユーザーは不安を感じてフォームを離脱してしまいます。逆に、フィールドのそばに理由を一言添えるだけで、その不安は大きく和らぎます。必須項目なら「なぜ必要か」を、任意項目なら「入力するとどんなメリットがあるか」を伝える。それだけで入力のハードルは下がるのです。

事例

蔦屋書店オンラインストア — SMS認証の目的を明示して電話番号の抵抗感を消す

蔦屋書店オンラインストアの会員登録フォーム。携帯電話番号欄の下に「本人確認のため、携帯電話のSMS(ショートメッセージサービス)を利用して認証を行います。」と表示
蔦屋書店オンラインストア — 携帯電話番号欄に認証目的を添えている

蔦屋書店オンラインストアの会員登録フォームでは、携帯電話番号の入力欄の直下に 「本人確認のため、携帯電話のSMS(ショートメッセージサービス)を利用して認証を行います。」 と表示しています。

携帯電話番号はメールアドレスより個人に紐づいた情報であり、提供をためらうユーザーも多い項目です。この一文は「本人確認のため」という目的と「SMSで認証を行う」という具体的な使い方を同時に伝えており、「営業電話がかかってくるのでは」という不安を先回りして解消しています。「SMS(ショートメッセージサービス)」と正式名称を括弧で補足しているのも、略称に不慣れなユーザーへの配慮として丁寧です。

💡 さらに改善するとしたら

「本人確認のため」という理由説明に加え、「営業電話やSMSの送信には使用しません」のようにプライバシー保証のひと言を添えると、「番号を教えたら勧誘が来るのでは」という不安をさらに払拭できる。 「Microcopy: The Complete Guide」Chapter 16: Alleviating Concerns and Suspicions

ジーユー — 性別入力のメリットをユーザー視点で伝える

ジーユー公式オンラインストアの会員登録フォーム。性別選択肢の下に「性別をご登録いただきますと、あなたにおすすめの商品をご提案いたします。」と表示
ジーユー — 性別欄に「おすすめ商品をご提案」というメリットを添えている

ジーユー公式オンラインストアの会員登録では、性別の選択肢(女性・男性・その他)の直下に 「性別をご登録いただきますと、あなたにおすすめの商品をご提案いたします。」 と表示しています。

性別は任意項目です。任意だからこそ「なぜわざわざ入力するのか」が伝わらなければ、多くのユーザーはスキップしてしまいます。この添え言葉は、性別データの用途を「おすすめ商品のパーソナライズ」というユーザー自身のメリットとして伝えることで、入力する理由を自然に提示しています。「あなたにおすすめの商品をご提案」という表現が、単なるデータ収集ではなく「入力するとあなたが得をする」という価値に変換されている点が巧みです。

神戸フランツ — eギフトの住所入力で「贈り主にはわからない」と安心させる

神戸フランツのeギフト受取手順ページ。「※入力した情報は、贈り主にはわからない仕組みです」と表示
神戸フランツ — eギフトの住所入力に「贈り主には伝わらない」と明記

神戸フランツのeギフト受取手順では、お届け先の入力を案内する箇所に 「※入力した情報は、贈り主にはわからない仕組みです」 と添えています。

eギフトで住所を入力する受取人が最も気にするのは「自分の住所が贈り主に知られてしまうのでは?」という点です。SNSで繋がっているだけの相手からギフトが届いた場合、この不安は特に大きくなります。この一文はその懸念にピンポイントで応えています。「仕組みです」という表現が、個人の気遣いではなくサービスとして設計上保証されていることを示しており、説得力があります。個人情報の「用途」だけでなく「誰に見えないか」を伝えるアプローチは、ギフトサービスならではの工夫です。

もっと事例を見る

同じく「個人情報を求める理由を添える」パターンの事例をさらに5サイト、「なぜこの情報が必要?」の事例をもっと見る にまとめました。

紹介サイト

マイクロコピーの観点

Microcopy: The Complete Guide
Microcopy: The Complete Guide (2nd ed.)
Kinneret Yifrah 著 / NEMALA / 2019年
ザ・マイクロコピー
Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー [第2版]
山本琢磨 著 / 秀和システム / 2022年

「Microcopy: The Complete Guide」p.215 では、ユーザーが生年月日・電話番号・性別・住所といった情報の提供を渋る理由について触れ、必須フィールドなら「なぜ必要かを説明し、プライバシーを保証する」、任意フィールドなら「提供がユーザーにとってなぜ有益かを説明する」ことを推奨しています。同書ではMondayの事例として、電話番号が任意であることを明記しつつ「必要な時の即時サポートに使う」とメリットを伝え、スパムには使わないと安心させている例が紹介されています。

「ザ・マイクロコピー」p.107 でも、Victoria's Secretが電話番号入力欄に「ご注文に問題が発生した場合に連絡するために使用します」と添え、セールスの電話がかかってこないことを暗に伝えている事例が取り上げられています。「なぜ聞くのか」に答える一文が、ユーザーの不安を和らげる鍵だと考えられます。

※ マイクロコピーは株式会社オレコンの登録商標です。

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