「サイズを確認する」「適合車種を見る」— リンクテキストに「情報の匂い」を染み込ませる
「詳しくはこちら」ではなく「サイズを確認する」。リンク先で何がわかるかを匂わせることでクリックを促す工夫が見られます。3つの通販サイトの事例とマイクロコピーの観点を紹介します。
「詳しくはこちら」では立ち止まる
ECサイトのユーザーはページを隅から隅まで読んでいるわけではありません。多くの人は「流し読み」をしていて、目に留まったリンクやボタンの文言から「この先に自分が知りたい情報がありそうか」を瞬時に判断しています。
この判断の手がかりになるのが「情報の匂い(information scent)」です。リンクテキストやボタンラベルから、クリックした先で何がわかるかを予測できる度合いのこと。「詳しくはこちら」「もっと見る」では情報の匂いがゼロに近く、ユーザーは立ち止まるか、素通りしてしまいます。
「サイズを確認する」「適合車種を見る」「郵便番号を入力してお届け予定日を表示」。こうした具体的な文言なら、リンク先に自分が求める答えがあると感じられます。通販サイトで見つけた好例を紹介します。
事例
Webike — 「適合車種を見る」でバイクパーツ最大の不安に応える

Webikeはバイク用品・パーツの総合通販サイトです。商品詳細ページの商品名直下に「(適合車種を見る)」というリンクが配置されています。
バイクパーツを買うとき、ユーザーが真っ先に知りたいのは「自分のバイクに付くのか」。この疑問に「仕様を確認する」や「詳細はこちら」では答えになりません。「適合車種を見る」という文言なら、リンク先で車種ごとの対応表が確認できることが一目で伝わります。しかも商品名の直下という、視線が自然に通過する場所に配置されているため、購入意欲のあるユーザーほど見落としません。
ナルミヤオンライン — カートボタン直前に3つの不安解消リンクを集約

ナルミヤオンラインは子供服ブランドの公式通販サイト。価格表示の下、カートボタンの直前に「この商品の問い合わせ」「返品について」「ポイントについて」という3つのリンクが横並びで配置されています。
注目したいのは、3つとも「情報の匂い」がしっかり効いている点です。「お問い合わせ」ではなく「この商品の問い合わせ」と対象を限定し、「返品について」はリンク先で返品条件が確認できることを、「ポイントについて」はポイントの計算ルールが載っていることをそれぞれ予感させます。子供服の購入者は親ですから、サイズ交換や返品の条件は特に気になるところ。カートボタンを押す直前の「ためらいの瞬間」に、必要な情報への最短ルートを用意しています。
「返品について」を「サイズが合わなかったら無料で返品」のように、リンク先で得られる安心感を文言に直接含めると、リンクを開かなくてもポリシーの要点が伝わる。 「Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー [第2版]」第3章 コンバージョンボタンのマイクロコピー — 3-4
Dell — 「郵便番号を入力してお届け予定日を表示」で次の行動まで伝える

Dellの商品詳細ページでは、価格の直下に「税込・配送料込」という注記があり、さらにその下に「郵便番号を入力してお届け予定日を表示」というリンクが表示されています。
このリンクテキストが秀逸なのは、アクションと結果を1行で伝えている点です。「配送について」だけでは何がわかるか不明ですが、「郵便番号を入力すれば → お届け予定日がわかる」という因果関係がテキストに含まれています。高額なPCを購入しようとするユーザーにとって「いつ届くのか」は重要な判断材料。しかもその上の「税込・配送料込」によって隠れたコストの不安も同時に解消しており、価格まわりの疑問を一箇所で片付けています。
「分割払いなら月々○○円から」のように支払い方法の選択肢と月額目安をカートボタン付近に添えると、28万円という高額に躊躇するユーザーの心理的ハードルを下げられる。 「Microcopy: The Complete Guide」Chapter 11: Buttons
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「情報の匂い」を意識したリンクテキストは、多くの通販サイトで見つかります。ユニクロの「サイズを確認する」、花キューピットの「LINEやSNSで贈る」など、さらに7サイトの事例を 「情報の匂い」を持つリンクテキストの事例をもっと見る にまとめました。
紹介サイト
マイクロコピーの観点

「ザ・マイクロコピー」p.63 では、ニールセン博士の調査を引用しつつ「平均的アクセス中にユーザーが読むテキストの量は多くても全体の28%にすぎない」と紹介されています。大半のユーザーは流し読みをしている以上、「詳しくはこちら」では情報量が足りず、ユーザーを立ち止まらせてしまう。リンクボタンには「情報の匂い」をできるだけ染み込ませるべきだと述べられています。
同書ではAppleの公式サイトを好例として挙げ、MacbookのM1チップについて「M1がグラフィックスを加速させる方法を見る」のように、リンク先に何があるか想像がつく文言を使っている点を評価しています。今回紹介した3サイトも、それぞれの商品特性に合った具体的な言葉でリンク先の内容を匂わせています。
※ マイクロコピーは株式会社オレコンの登録商標です。


